4.2 小売業 共通基盤(商品マスタ)

ITシステム

商品マスタは、購買・在庫・販売管理などで共通に利用する商品の基本情報であり、小売業の基幹システムを支える共通基盤です。ここでは、商品マスタについて整理します。

一般的に商品は、サイズ・色・容量などを区別した在庫管理上の最小単位であるSKU(Stock Keeping Unit)ごとに管理し、それぞれに商品コードを付与します。

商品マスタの登録・更新は、商品部のオペレーション担当部署、または管理部門が一括して行うケースが一般的です。

主な登録情報として、

商品の識別・属性については、商品コード、JANコード、商品名、型番・品番、ブランド、容量・規格、原産地 等

分類・取扱管理については、商品分類、カテゴリ、商品ステータス、税区分 等

仕入・販売条件については、仕入先、標準仕入単価、売価、発注単位、販売単位 等

在庫管理条件については、消費期限管理要否、ロット管理区分 

などがあります。

これらの情報は、システム構成に応じて、商品マスタと関連する単価・仕入先別条件などのマスタに分けて管理する場合もあります。また、店舗別・期間別の売価や仕入先別の仕入単価などは、関連する価格マスタ等で管理する方法もあります。

登録効率化のため、卸売業者などから商品情報の電子データの提供を受ける場合もあります。自社の商品分類、標準仕入先、発注条件、売価などについては、自社の商品部で設定・管理します。

商品マスタは業務の根幹情報となるばかりか、価格情報を含み財務会計への影響も大きいので、その情報の正確さと、タイムリーな更新・維持管理が必要となります。

このため、システム機能としては、権限レベルに応じたアクセス制限、更新処理時のユーザシステムには、登録・変更権限の制限、必須項目やコード重複等の入力チェック、重要項目の変更承認、更新者・更新日時・変更前後の内容の記録、登録内容の確認リスト(プルーフリスト)の出力などの機能が求められます。

なお、これらの機能は、必ずしも商品マスタに限定するものではなく、マスタファイル全般にも該当するものとなります。

小売業では、多くの場合、本部と店舗で商品マスタのデータ連携を行います。商品部が商品マスタを更新・維持管理し、全店舗に配信するという集中管理が典型的な例ですが、特定店舗でしか取り扱わない商品がある場合、店舗での商品マスタ登録を認め、その登録データを本部に集約するという方法もあります。

商品マスタをどのように管理するかという各社の方針にもとづき商品マスタのデータ連携方法が規定されることになります。

新商品の取扱開始や売価変更では、適用開始日を設定し、必要な情報を事前に店舗へ配信して、指定日に反映させる運用もあります。

典型的な商品マスタの配信の例を示します。この例では、商品マスタは本部で集中管理し、店舗に配信します。

商品マスタを本部から店舗システムへ連携する場合、全件を毎回配信するのではなく、新規登録・変更されたデータのみを差分として配信する方法が一般的です。配信後は、店舗側での受信・反映結果を確認し、未反映やエラーがあれば再配信などの対応を行います。

差分配信は、データ量や処理負荷を抑えるとともに、店舗側の商品マスタを効率的に更新することが可能となります。

なお、クラウド型のシステムでは、本部と店舗が共通の商品マスタを参照し、店舗への物理的なマスタ配信を行わない構成もあります。

商品マスタのデータ配信の例