2.2.2 業務プロセス 販売2(出荷)

業務プロセス

卸売業の販売業務プロセスについて、出荷の概要を整理します。

出荷

営業部が顧客からの受注を受けます。物流部は、出荷指示を受けて商品出荷のためにピッキング作業(荷揃え)を行います。

出荷指示の単位ですが、多くの場合、個別の受注単位ではなく、配送時間帯や配送ルート、作業効率を考慮して、複数の受注をまとめた「ウェーブ(波動)単位」で作成されます。

ピッキング方式

ピッキング(荷揃作業)の方法は、「摘み取り方式」と「種まき方式」とに分かれます。

(1)摘み取り方式

顧客単位にピッキングを実施する方法で、顧客の注文単位に商品を収集する方式です。多品種、少量で出荷先が多い場合に適した方法です。

(2)種まき方式

商品単位にピッキングを実施する方法で、複数の顧客の注文をまとめて商品別に荷を集めた後に、顧客別に分別するという方法です。同一商品の出荷量が多い場合に適した方法です。

これら二つの方式については、取引の実態に応じて出荷先数と取扱品目数の状態から、効率的な方法を選択することになります。

デジタルピッキング

近年ではデジタルピッキングと呼ばれる方法も普及しています。商品棚に表示装置を設置し、出荷指示データをピッキングシステムに取込み、ピッキングの経路順に、該当の商品棚の表示装置が作動するものです。ピッカー(作業者)は、表示装置に従って、該当商品をカートに移し、次の商品棚に移るというものです。

デジタルピッキングは設備投資が必要となりますが、経験の少ないアルバイトなどでも、作業効率の向上とピッキングの精度を高め、誤出荷を削減することに貢献します。

梱包

ピッキングが完了すると、必要に応じて、セット品の組み合わせ、これと逆の商品の小分け、値札貼付などの流通加工を行います。そして、段ボール詰め、通い箱への収納を行い、配送ラベルを貼付して配送可能な荷姿に仕上げ、梱包を終えます。

出荷検品

梱包後には、納品伝票・配送ラベル・現物との最終照合(出荷検品)を実施します。

納品伝票に印刷されたバーコードを読み取り、ピッキングした商品のバーコードを読みこみながら両者に差異が生じていないかを検証し、精度を高める方法もあります。

出荷検品が完了すると、出荷確定処理により、出荷基準で売上計上を行っている場合、売上が計上されます。

配送

配送の指示は、配送ルート別に納品先が順に記された配送指示書が準備され、ドライバーに渡されます。ドライバーは、配送指示書と商品と納品書を受け取り、トラックに積み込み、配送を行います。

ジャストインタイム配送では、顧客のニーズにより、配送指示書には、納品先別の納品時間が指定されています。ドライバーは配送指示書に従い、納品先を順に回り、荷おろしをして商品と納品書を納めます。

従来は、先方の受領サインを記した受領書を回収するのが一般的でしたが、デジタル化の進展の中で、電子受領サイン、納品日時、納品場所、必要に応じて現場写真を電子的に取得するPOD(Proof of Delivery)により納品確認を行い、売上計上や配送品質管理の根拠情報として活用する例も普及しています。

いずれにしても納品確認は重要な統制ポイントとなります。なお、検収基準で売上計上を行っている場合、この時点で売上が計上されます。

物流主要テーマ

卸の主要機能の一つが物流ですが、物流について顧客から求められる主要テーマは二つあります。少量多頻度配送と納品精度です。

・少量多頻度配送 

小売の在庫保有リスクを低減するため、また物理的な保管スペースの制約の中で品揃えを実現するため、ケース単位のような大ロットではなく、必要数量であるバラ単位での小ロット配送を求めるものです。小売の欠品防止のために必要な都度の配送を求めるため、結果として多頻度となります。

・納品精度

納品数に対しての誤納品数の比率を示す「誤納率」が納品精度を示す指標です。顧客からは誤納率の低減が求められ、取引条件の一つに誤納率が定められる場合もあります。誤納率の精度向上には受注のオンライン化、ピッキング方法の改善、出荷前検品作業の徹底などの方法がとられます。

これら二つのニーズは適量を適時に正確に届けることが求められるものですが、食品などの場合は、これらに加えて、鮮度管理や倉庫保管・配送時の温度管理についても一定条件を求められます。

物流業務については、自社物流に加えて3PL(Third Party Logistics: 物流業務の外部委託)事業者へ倉庫運営、流通加工、店舗配送、返品処理までを包括的に委託するケースも見られ、少量多頻度配送や納品精度向上への対応力を高めています。

売上返品

顧客へ出荷した商品が、顧客から戻される行為が売上返品ですが、返品が発生する理由としては通常以下の項目があります。

・納品した商品が発注内容(品目・数量)と異なる場合

・配送の過程で商品に損傷が発生した場合

・商品の品質に問題がある場合

売上返品は卸にとっては、売上の減額になるとともに、出荷・返品処理に伴う物流コストの増大につながるため返品の受入れについては慎重な対応が求められます。返品については、顧客の主張を営業担当が十分聞いた上で、返品を受け入れるかを判断し、返品の承認を行います。もっとも、業種によって買い手の立場が非常に強い場合は、小売の判断で返品される場合もゼロではありません。

売上返品時には出荷金額と同額をマイナス金額として、返品伝票を起票し、売上を減額します。売上の締め日前後の処理は請求明細へ影響を与えるので迅速な処理が求められます。

また、返品された現物の確認は品質管理面でも重要となります。

直送売上

直送売上とは、商流は自社を経由しますが、物流は自社を経由せず、仕入先から直接顧客に配送される処理を示します。自社では配送状況について情報がないので、仕入先から納品予定および納品実績の報告を受け、この実績報告にもとづいて、売上と仕入を同時に計上します。商流は自社経由なので、顧客への納品書は自社で発行する必要があり、売上処理時に納品書を発行し、顧客へ送付します。

小売と卸の間には帳合という制度が古くから存在します。帳合とは、小売と卸との間で取引口座をもち継続的に取引を行っている関係を指します。小売は帳合先として、商品や商品群ごとに卸を一つに絞るため、帳合の卸が調達できない商品が発生する場合、別の卸に商流のみ帳合を経由することになります。こうした場合、直送売上が発生することになります。

帳合の例 小売Sにとっての帳合先が卸Xのケース