卸売業の在庫管理プロセスのうち、在庫の増減を管理する中核機能である受払管理について整理します。

物流フロー
在庫の受払は物流活動と密接に関連するため、まず、卸売業で見られる仕入先から顧客へ向けた代表的な物流フローを整理します。
(1)物流センターが1か所の場合
最もシンプルな形態は、自社の物流センターが1か所の場合です。仕入先から物流センターに入荷した商品が保管され、そこから顧客や自社営業所へ出荷されます。自社を介在しない場合は、仕入先から顧客への直送となります。

(2)物流センターが複数の場合
事業規模の拡大に伴って複数の物流センターを運営するケースでは、拠点間での在庫移動が発生します。この場合、各拠点間の在庫の受払管理が重要となります。

(3)顧客の物流センターの一部を利用している場合
大手小売業との取引では、顧客の物流センターの一部を自社在庫の保管場所として利用するケースがあります。この場合、店舗への配送は顧客側の物流網を利用します。また、当該スペースの利用料が発生します。

受払管理
受払管理は、商品の入出庫を発生の都度記録し、在庫数量を管理する機能です。
倉庫や営業所などのロケーション別に、商品ごとの受入・払出実績を発生の都度登録し、その受払記録の累積により、「現在これだけの在庫があるはず」という帳簿在庫(理論在庫)が把握されます。
入荷
仕入先から商品が納品され、仕入検品で問題がなければ、検収が行われ在庫が計上されます。不良品が見つかると、仕入返品が発生し、返品処理によって、在庫が減少します。
実務では、発注数量と実際の入荷数量が一致しない場合があります。これは、主に3つのパターンが存在します。
(1)欠品
納品数が発注数量を満たさず、その数量で取引が完了する場合。
(2)分納
不足分が後日納品される場合。発注残管理が必要となります。
(3)過納
発注数を上回る納品。発注あるいは出荷ミスと考えられるため、通常、発注修正、あるいは過剰分の返品を行います。
これらの例外処理は、在庫数量の誤りにつながりやすいため、慎重な管理が求められます。
移動
物流効率の最適化のため、物流センター、営業所、顧客物流センター内の自社保管スペース間の在庫移動が行われます。移動時にはシステムから移動伝票が発行され、払出処理、受入処理により各倉庫の在庫の増減が行われます。近年では、紙伝票を発行せずハンディターミナルでバーコードを読み取ることで処理を行う方法も普及しています。
出荷
出荷指示に基づき倉庫内でピッキング作業が行われ、顧客への出荷により、在庫が減少します。これとは反対に売上返品時には在庫が増加します。
直送
自社の倉庫を経由せず、仕入先から顧客へ直接納品される取引を直送といいます。
この場合、物理的な在庫の受払は発生しないため、在庫数量には影響しませんが、顧客への納品完了を基準として、売上計上および仕入計上を行う必要があります。
在庫加工
卸売業では商品の形態を変更する在庫加工を伴う場合があります。在庫加工には小分けとセット組があります。
- 小分け
ケース単位で仕入れた商品を内箱やバラ単位に小分けする分解作業のことで、小売の少量多頻度のニーズに対応するものです。
- セット組
セット組は小分けと反対の組立作業のことで、ギフトセットや詰め合わせなどバラの商品を複数組み合わせて一つの商品に仕立てるものです。
在庫加工に際しては、分解や組立により商品の単位が変換、あるいは組換えがされるので、在庫管理システムの処理により、こうした変換を適切に対応することが求められます。
その他
販促目的での無償出庫、廃棄や研究開発などの特定目的のための振替処理(他勘定振替)等があります。
