2 業務プロセスフロー

業務プロセス

製造業の生産形態は、受注のタイミングに応じて「受注生産」と「見込生産」に大別される点は既に記載しました。

受注生産は顧客からの注文を受けてから生産を開始する形態で、カスタム製品や多品種少量生産に多く見られます。一方、見込生産は需要予測にもとづいて受注前に生産を行う形態で、標準化製品の大量生産に適しています。

このうち予測情報にもとづく見込生産では、受注前の段階から販売予測・生産計画などの活動が必要となるため、取り扱う業務プロセスの範囲が受注生産よりも広くなる傾向があります。そこで、全体像を把握しやすい見込生産の例で解説を行っていきます。

見込生産型・製造業のビジネスの流れを物、金、情報に着目して、設備投資関連および研究開発を除いた購買、生産、販売の定型業務を中心にシンプルに記述したものが次のチャートです。

チャートの配置として、中央に事業会社が位置し、左側が仕入先・外注先、右側が顧客、下側に決済機関(銀行)、物流については上部に位置付けています。モノは左側から右側へ、お金はモノとは反対に右側から左側へ流れます。顧客・仕入先など取引先に対して、取引の窓口となる事業会社の組織・部門が対応しますが、本稿では上記フローとそれを担う組織を対応づけて、一つの例として整理します。これらの業務プロセスを担う各部門を明確にすることで、役割と責任の所在が可視化され、業務の流れと組織構造の整合性が理解しやすくなると考えたからです。以下はその対応関係を示す組織図です。

見込生産の場合、顧客からの受注に先立って、営業部の営業活動を通じて作成する販売予測が生産プロセスの起点になります。次の稿から各業務プロセスの流れを販売予測から順を追って説明していきます。