4.7 販売管理システム

ITシステム

販売管理システムは、製品の見積、受注、出荷・売上、請求・債権管理までの一連のプロセスを効率的に管理するための基幹業務システムです。主として見積管理、受注管理、売上管理、債権管理から構成されます。

企業によってはSFA(Sales Force Automation)を活用している例もあります。SFAは営業部門の生産性の向上、顧客とのコンタクト履歴の集中管理による顧客満足の向上を目的にしたシステムであり、営業活動履歴のデータベース化や社内報告文書の作成、ワークフローなどの機能を備えています。基幹系の販売管理システムとSFAとを連携して利用している場合も多く見られますが、ここでは基幹系システムを中心に整理します。

【見積管理】 

見積管理は、顧客との商談を通じて、営業担当者が作成する見積情報を管理する機能です。

主な機能としては、見積Noの発行、見積書の作成・発行、製品マスタの標準原価や予定原価を基に見積時点での粗利益の試算、見積改訂履歴の管理、失注情報の管理などがあります。また、見積データは後工程である受注処理へ連携されます。

【受注管理】 

受注管理は、顧客からの受注を正確かつ効率的に処理し、その後の出荷・売上・請求業務へと連携する機能です。

見積システムと連携していれば、見積データを元に受注データに変換されます。見積システムと連携がない場合には、受注伝票等に基づいて、受注入力を行います。また、EDI(Electronic Data Interchange)により顧客とネットワーク化されている場合には、顧客の受注データを電子データとして受け取り、システムに取り込みます。

受注データとしては、受注日、取引先、注文番号、担当者、製品、数量、売単価、納期、納入先などが管理されます。また、原価や粗利益が参照表示される場合もあります。

なお、代理店販売の場合は、直接の販売先は代理店ですが、最終顧客であるエンドユーザの情報も併せて管理されることがあります。

受注処理における重要なポイントとして次の三点が挙げられます。

売価管理

受注処理時に製品マスタの売価と原価が参照表示され、粗利益を確認することができます。顧客との交渉により、売上値引を行う場合は、権限者による承認処理により業務が進行します。

与信管理

売掛債権の遅延や回収不能のリスクを回避するため、受注段階で売掛先の与信枠と受注金額とのチェックを行います。システム上は、顧客マスタに設定された与信枠との照合が行われます。既存の売掛残高に受注残高、さらに今回の受注金額を加えた総額を算出し、与信枠と比較します。与信枠内であれば、受注処理が行われますが、与信枠を超えている場合にはワーニングメッセージにより、注意を喚起し、受注可否を権限者が判断した上で処理を行います。

在庫管理

取引先に対しては、受注時点で対象品目の在庫状況や納期について回答することが求められます。現在在庫数、引当可能在庫数、入荷予定情報など、情報システムの適用範囲によって、データ参照して提供できるデータは異なります。

受注に対して製品在庫がある場合には在庫の引当処理を行い、出荷指示データを作成します。出荷指示データは、ピッキング(荷揃い)の方法に応じて帳表として出力されます。一方、製品がない場合には、生産管理システムへ製造要求が連携されます。

受注に際しては、前回受注内容、製品在庫の参照、受注残などの情報も参照できるようになっています。

【出荷・売上】 

出荷指示によりピッキングリストが出力され、これに基づいて、製品の荷揃いが行われます。荷揃いが完了し出荷確定処理を行うと、納品書の発行とともに出荷データが作成されます。納品書には、製品情報としてのロット番号やシリアル番号などが表示されます。

製品売上の収益認識基準が出荷基準の場合には、出荷処理によって売上が計上されます。収益認識基準が顧客の検収基準の場合には、顧客の検収処理によって売上が計上されます。売上データは会計システムへ連携されます。

一方、受注は受けているものの、製品在庫がない、もしくは出荷処理が完了できていない売上未計上分は受注残として管理されます。

売上返品については、顧客と営業部の間で返品の合意がなされた製品について、現物確認のうえで売上返品伝票に基づき受入処理を行います。これにより売上を減額するとともに製品在庫が増加します。不良返品の場合は、システム上で良品と不良品を区分するため、製品の受入区分を変更した上で受入処理を行うことになります。受入処理時に返品理由を登録することで後日の分析に活用できます。

サービスの役務売上については、サービス作業伝票に基づき作業実績を入力することで売上が計上されます。有償パーツが有る場合には、部品売上を含めて処理されます。サービスには無償対応もあるためシステム上も有償と無償の区分が必要になります。

売上・粗利データは顧客、組織・担当者、製品分類、製品、時系列などのさまざまな切り口で分析されます。

【債権管理】 

顧客マスタに登録されている締日情報に基づき、売上データから請求データが生成され請求書が発行されます。また、顧客マスタの支払サイトにより入金予定日が把握されます。入金実績により、入金処理が行われ、売掛金の消込処理により売掛残高が管理されます。

入金確認に際しては、銀行のインターネット・バンキングデータを利用することが一般的です。取引の消しこみに関しては、データを活用した、振込名寄せ、入金AI照合、入金消込RPA(Robotic Process Automation)などによる効率化も普及しています。

大手企業など取引先によっては、請求書を送付するのではなくて、顧客が認識した買掛金に基づく支払明細を送付し、その内容に従って入金される場合もあります。

売掛債権は発生からの時間が経過すればするほど回収が困難になる傾向があるため、入金予定日に対して、未入金となっている債権を発生期間別に抽出し、定期的に滞留リストとして出力します。これらの情報は、営業担当者へ配布され、貸倒防止のための回収活動に活用されます。

その他

輸出を伴う場合は、輸出固有の機能が必要なため、輸出システムとして別のサブシステムを構成さる場合や、販売管理システムがこれらの機能を備える場合があります。 輸出固有の機能としては、他通貨・多言語対応、Packing List 、Commercial Invoice、船積指示書、原産地証明書などの輸出書類の作成、FOB、CIF、EXWなどの貿易条件・支払条件の管理、関税管理などがあります。さらに輸出規制への対応などコンプライアンス対応の管理機