4.5 生産管理システム

ITシステム

生産管理システムは、生産プロセスを最適化するための仕組みで、計画領域(Planning:生産計画、所要量計算)と実行領域(Execution:工程管理、製造実績、外注管理)から構成されています。

従来、製造指示や実績収集などの実行系の分野から発展してきましたが、SCM(Supply chain management)の重要性が増すにつれて、需要予測、負荷計算、生産シミュレーションといった高度計画(APS:Advance Planning Scheduling )系と呼ばれる領域が拡張してきました。近年ではIoTによる実績データの自動収集、機械データの異常検知、生成AIによる計画案の作成支援など先進デジタル技術の適用分野が広がっています。

【生産計画】 

生産計画は、期間に応じて、大日程(年間から月次)、中日程(週次)、小日程(日次)に分かれます。

販売計画や過去実績を取り込んで、稼働日数、工程負荷、在庫水準など各種制約条件にもとづいて、最適な生産量・生産日程を立案します。業種によっては受注情報を中心とした計画立案を行うなど、生産形態に応じて取り扱うデータは異なります。

生産計画の作成方法としては、着手日を起点に時間の流れに沿って進むフォワード方式と、納期と生産リードタイムから逆算して生産着手日を割り当てるバックワード方式とがあります。

期間を週次、日次と時間軸を短くすることにより、拠点、ライン、設備単位など実行に耐えうる粒度で計画を具体化していきます。

こうして展開した計画は、通常ガントチャートで可視化され、工程負荷や設備能力との整合性の確認がされます。

【部品表管理・所要量展開】  

部品表(Bill of Materials)は、製品がどのような資材・部品から構成されているかを示す展開表です。階層構造になっているので、必要な資材・部品の品目、数量がどのように組みあがり、完成品に至るか、製品の構造がわかります。

業種によっては、例えば、化学品であれば配合表、食品加工であればレシピと呼ばれ、部品表の名称は異なりますが、構造化の考え方は共通です。

システム上は部品表マスタに構成要素の情報が登録されます。最上位の製品があり、その配下に製品の最終工程で必要となる中間品や資材が親子関係となって示され、必要数量が登録されます。ここで出てくる中間品についても同様に、その配下に中間品をくみ上げるに必要となる資材の親子関係と数量が表現されます。こうして、最終的には最小単位の資材と数量に行き着きます。

資材のディスコン(discontinuedの略で製造中止を意味する)など資材の変更に伴い部品表の変更はつきものですが、変更が発生する適用日付で管理できると変更部品をタイムリーにコントロールできます。

ここでは、製造工程における部品表を想定していますが、実務的には開発段階の設計部品表と生産段階の製造部品表は分けて管理しています。量産設計を経て、さらなる原価低減活動等で資材が変更になり、最終的に量産時に使用する部品表は設計段階の部品表とは構成内容が異なってくるためです。この他に調達時に使用する調達部品表など用途によりバリエーションがあります。

部品表の重要な役割として、資材の所要量計算(Material Requirement Planning)に活用されます。これは、生産計画の必要製品数から部品表の資材の構成要素情報により必要資材の所要量の算出を行うものです。また、構成アイテム、数量にとどまらず、保有情報に原価情報を加味させ、製品原価管理に活用されます。

さらに、有害化学物質規制、CO2排出量に活用するなどの応用事例も見られます。生産技術上のみならず、多様な用途のある部品表は、その重要性から生産管理システムの要とも言えます。

【工程管理】  

部品表管理では「何をどれだけ使うか」を管理したのに対して、工程管理では「どう作るか」を管理します。中心となるのは工程マスタで、工程の作業順序を示す工順、工程の名称、工程別の標準工数(作業時間・タクト・段取り)、使用生産設備、該当工程を外注先に委託する場合はその区分等の情報が登録されます。部品表と同様に重要な技術情報となります。

生産計画策定時には、納期から着手日を求めるバックワード方式であれば、納期を元に工程マスタを参照することで製造リードタイムを算出し、フォワード方式であれば、反対に着手日より工程マスタを参照して完成予定日を積上げます。

製造指示に対して製品別、製造指示別等の生産実績の入力が行われると、標準工程と実績との比較が行われ、作業の進捗状況を分析することができます。生産遅延が発生している場合は、こうした情報は遅延の早期把握と対策に活用することができます。

【外注管理】  

外注管理は、外注先に関する情報管理、支給品の管理、工程管理が柱となります。

外注先の情報管理については、外注先マスタに名称、所在地、取引条件など基本属性の登録に加えて、保有する製造加工技術の内容、主要設備、生産能力、支給品の有償・無償区分、過去の取引実績、評価が蓄積され参照されます。

支給品の管理については、外注先マスタに保有する有償・無償の支給区分に応じて購買システム、資材在庫管理システムと連携して、支給実績管理、受払管理が行われます。

無償支給の場合は、資材在庫管理システムに社外在庫として倉庫区分を設けて、自社が管理する在庫として移動処理によって受払が記録されるとともに、受入時に加工費が識別されます。有償支給の場合は、資材価格を一度売買処理し、加工後の受け入れで加工費が確定します。

工程管理については、有償、無償支給を問わず、外注先にクラウドポータルを用意して、製造指示、実績管理をオンラインで行う方式も普及しています。

外注先に依存するファブレス企業では外注先の工程管理のリアルタイムでの管理が生産性確保の要となります。

【製造指示・製造実績】 

小日程計画をもとに、製造指示が発行され、作業者に具体的な作業内容(製造品目、数量、ロット番号、工程、使用設備機器、納期等)が伝達されます。

製造指示を受けて、作業者は製造を行い、製造実績が報告されます。製造実績は品質トレース情報の蓄積、原価管理、生産進捗把握の観点でその精度が重要となります。

実績情報としては、対象品目、ロットNO、実際に使用した資材および数量、完了工程、作業者、作業時間、使用設備、使用時間、不良品、品質、その他の報告事項が対象になります。

実績収集の負荷軽減のために、すべての情報を入力するのではなく、製造指示書との差分入力、タッチパネル・ハンディターミナル端末での簡易入力、IoT/ FA(Factory Automation)システムから自動収集などの方法が活用されます。

正確な実績情報をもとに、生産管理課では、生産進捗を即時把握し、日程再調整や遅延対策が図られます。その意味において、タイムリーで精度の高い製造実績登録はとても重要になります。