2.1 業務プロセス 販売予測~生産計画

業務プロセス

見込生産型・製造業の業務プロセスについて、販売予測から生産計画までの概要を整理します。

営業担当は顧客に対して営業活動を通じて受注を獲得します。営業担当は営業活動の中で、まだ受注には至っていないものの将来の受注が見込まれる案件について一定の手応えを得ることがあります。

営業担当が得るこの顧客からの受注見込みが、販売予測の情報源となります。将来の見通しであるため、情報は時間の経過とともに変動しやすいという特性があります。したがって見込み情報は、遠い将来の話より、より近い将来の方が、予測精度は高くなります。

営業担当が収集・作成した顧客別・製品別の販売予測は、営業部で取りまとめられ、製造部へ共有されます。製造部のスタッフ部門である生産計画課が販売予測を製品別単位に集約します。そして、製品別販売予測をもとに在庫、生産能力等を加味して製品別生産計画を立案します。

製版会議

営業部、製造部の双方とも、最も関心のある情報は、実は相手部署が持っている情報となります。

販売を掌る営業部が販売予測を作成するわけですが、営業部としては、顧客と約束している納期を守って納品するという点を踏まえると最も知りたい情報の一つが生産の進捗状況であり、生産計画の達成状況となります。

生産活動に対して、生産トラブルが発生して顧客に対しての納期に影響がある事態はないか、あるいは、今後予想される受注数に対して生産能力は対応できるか、原材料の調達状況はどうかなど、製造部の持っている情報は営業活動上も非常に重要な情報となります。

一方、製造部は、今後の生産に最もインパクトがある受注見通しを正確に把握したいと考えます。大規模な商談の進捗状況や、特価販売などのプロモーション、新製品の販売動向など、生産数量に重要なインパクトを与える情報を事前に把握した上で、販売予測の確度を折り込みながら、現状の生産状況、設備、人員体制、原材料・仕掛品の在庫水準などを考慮して、最終的に生産計画を確定するからです。

受注見通しと生産計画については、経営にとっても重要な情報なので、製造部と営業部の双方の責任者が参加する「製販会議」という会議体を設けて情報共有を行い、生産計画について討議が行われます。「製販会議」では、営業部と製造部の責任者が定期的に集まり、販売予測や生産計画の整合性、在庫水準、需給バランスなどを調整・確認していきます。

生産計画

生産計画において、工程計画(スケジューリング)を策定する方法として、開始可能日から作業を着手するフォワード(順行)方式と納期から逆算して製造着手日を決めるバックワード(逆行)方式の二つがあります。

フォワード方式は生産遅延が発生しにくい一方で、在庫が生じやすいという性質がありますが、納期にある程度の余裕がある場合や、工程の初期段階で早期着手することが有利な場合には、フォワード方式が採用されます。

バックワード方式は、顧客から納期厳守を強く求められる場合、ジャストインタイム生産を志向し、必要なときに必要なものだけ保有し在庫を圧縮したい場合に採用されます。

また、ハイブリッド方式といい、フォワード方式とバックワード方式の両者を組み合わせる方式が採用される場合もあります。

■■ 例 ■■

ここでは、簡単な設例を挙げてみます。販売予測にもとづく必要と見込まれる製品数、ここから使用可能な製品在庫を差し引くことで、生産すべき製品数量を割り出し、バックワード方式で製造着手日を求めていきます。

営業情報によると、6/4時点での販売見込数は6個です。一方、その時点の製品在庫は3個です。従って、販売見込数を満たすには、製品在庫数を差し引いた3個の製品が必要となり、この数が製造数となります。そして、完成予定日(6/3)を起点に、生産能力を踏まえ、この製品の製造に掛かる工程を積み上げた時間(製造リードタイム3日)から逆算することで、製造の着手日(6/1)を導きます。

上記は非常に単純なモデルを示していますが、実際には、原材料の納期状況や、製品完成から納品までの輸送時間についてなど様々な制約条件も考慮する必要があります。

生産計画は、業種や取り扱い製品によって、作成方法は、さまざまですが、長期、中期、短期の時間サイクルを分けて作成していくのが一般的です。暦月での管理がわかりやすいということもあり、月単位に策定する例も多く見られます。もちろん、これも産業分野や製品により期間は異なり、より短い1週間単位の計画の例も、より長い3か月単位の計画というサイクルの場合もあります。

■■ 例 ■■

ここでは、毎月下旬に翌月以降3か月の基本計画を策定している例を示します。

5月末に、「6月、7月、8月の3か月分の生産計画」を策定します。そして6月末は、6月の製造進捗実績と最新の販売予測の情報を加味して、「7月、8月、9月度の生産計画」を策定します。将来3か月分を常に計画策定の対象期間にしつつ、毎月1か月分だけシフトしながら、時間の経過とともに情報の精度を高めていくという方法です。5月末時点で策定した8月分の計画に着目すると6月、7月末に更新されていく流れが分かります。