卸売業の組織について、中堅規模の卸売業を例に、主要な役割を業務との関係で整理・解説していきます。
中堅規模の卸売業では、組織は「商品(仕入)」、「物流」、「営業(販売)」、「管理」 の4つの機能で構成する場合が一般的です。
これにより、業務の流れを意識した機能別組織となり、各部門が役割分担しながら需給調整・在庫管理・顧客対応を行うことで、安定したサービス提供を実現します。
組織図の例を以下に挙げてみます。

商品部
商品部は、調達戦略を担う中核部門となります。
顧客に求められる商品を安定的に供給するため、売れ筋の把握による商品ラインナップの最適化、仕入先の選定・評価、仕入先との価格・条件交渉、営業・物流との在庫協議による需給調整を主に担当します。
組織例に記載した「商品企画」、「仕入先管理」が上記の役割に該当します。これらの業務は専門性が求められるので、下位組織は、商品分類別・仕入先別などでチーム編成がされます。
また「オペレーション」については、バックオフィス業務となる、発注業務、マスタ整備、リベート管理などの購買業務が該当します。
より具体的には、発注指示の作成、商品マスタ整備、仕入条件の登録、リベート管理などです。これらオペレーション業務については、管理部など他部署に機能分離をするケースもあります。
物流部
物流部は、商品の入荷から出荷・配送まで、サプライチェーンの実務オペレーションを担います。主な役割としては、入荷・検品・受入処理、保管・在庫ロケーション管理、出荷指示に基づくピッキング・梱包、配送計画策定・配送手配、返品処理対応、実地棚卸・在庫精度管理などです。
また顧客から求められる配送品質(納期遵守率・誤納防止・温度管理など)を維持するため、配送車両・倉庫設備およびマテハン(マテリアルハンドリング(Material Handling))機器の改善提案も行います。この業務領域は組織例の「物流企画」に該当します。
実務のポイントと役割分担としては、
・入荷・検品・帳簿在庫整備、実地棚卸は物流部が担いますが、在庫水準の設定は営業・商品部と協議して決めます。
・設備投資については、管理部と協議した上で経営者の判断を仰ぎます。
営業部
営業部は、売上拡大と顧客対応の最前線を担います。
主な業務は、商品部方針と連動した販売計画の立案、既存顧客および新規顧客への訪問ならびに提案営業、見積・受注処理、取引条件交渉、顧客サポート(リテールサポート、販売支援)、回収フォローなどです。
営業組織は企業の規模や特性に応じ、例えば、以下の切り口で細分化されます。
・顧客業種別(小売向け、外食向けなど)
・エリア別(地域営業部)
・販売チャネル別(直販 / EC / 海外)
営業組織の編成方法のポイントとしては、顧客のニーズを的確に応えられるか、組織としての効率性が良いかという視点によります。
なお、実務的な重要ポイントとしては、商品部と連携して需給調整を行うことが挙げられます。また、与信管理や債権回収は管理部と連携して進めることが一般的です。
管理部
管理部はバックオフィス機能全般を担当し、会社運営を支える部門です。
主な役割としては、経理・財務(与信管理・債権管理を含む)、人事・労務、総務、情報システム(基幹システム、EDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換) 、マスタ管理)です。
卸売業では、取引件数が多くシステム依存度が高いため、中堅規模でもシステム担当の組織を設置することが一般的です。
実務ポイントとしては、営業・物流の業務オペレーションを支える基幹システムの安定稼働が最重要です。また、債権管理(与信、回収管理)は卸売業のリスク管理面での重要ポイントであり、営業部と協働して業務を遂行します。
